温度差 2014 3 8

 ロシアによるクリミア半島の「実質的に軍事的な行動」に対して、
国際社会は、ロシアに対して、制裁を発動していますが、
日本としては、中国が南シナ海で「実質的に軍事的な行動」を行った時に、
はたして、ロシアに対する制裁と同じように厳しい行動が取れるか、
値踏みをしたくなるでしょう。
東南アジア諸国も、同じような思いでしょう。
 南シナ海は、原油や天然ガスを満載した日本のタンカーが通過する、
極めて重要な海域です。
 国際社会は、ロシアに対しては厳しい行動に出るが、
中国に対しては、単なる懸念表明で終わりにする。
そんな温度差があるのではないかと、日本人は懸念しているでしょう。
 状況証拠は、いくらでもあります。
イギリスのキャメロン首相は、
人権問題で中国を批判したところ、
中国から「経済制裁」を受けてしまい、
その後、中国の人権問題に関しては、
口をつぐむようになりました。
 ドイツのメルケル首相は、
そういう事情をよく理解していますので、
ロシアの人権問題に関しては、強く批判していますが、
中国の人権問題に関しては、逃げています。
 国際社会は、ロシアと中国に対して、
温度差なしで対応できるのか。
 逆に、中国から見れば、そこに温度差が出れば、
「ついに、国際社会も欧米も、中国の軍門に下った」と判定することができます。
 そういうわけで、この国際情勢は、
中国にとっては、チャンス到来というわけで、
南シナ海で「実験的な行動」に出るチャンスと言えます。
 もっとも今の中国は、国内問題で忙しく、
外に出て行く余裕がないかもしれません。

植民地 2013 3 16

2013年3月16日の時事通信社には、このようなニュースがありました。

【北京時事】新華社電によると、中国の李克強首相は15日、
ドイツのメルケル首相と電話会談した。
 メルケル首相は「李氏が首相当選後、
初めて通話する外国指導者となって、うれしい」と喜び、
中国との関係を重視する姿勢を示した。
(引用、以上)
 中国の李克強首相にとっては、まだ就任早々ということもあり、
このような電話は、植民地の総督に電話をするようなものなので、
気分的に楽だったと思います。
 中国の版図(領土)は、歴史的には、
モンゴル帝国が、最大と言われていますが、
経済的な植民地とはいえ、
欧州まで広がっている現在の中国が、
中国4000年の歴史において、最大の版図となっています。
 さて、本から引用しましょう。
「空を制するオバマの国家戦略」(実業之日本社)から引用です。
 アメリカと日本が警戒するのは、メルケル首相の動きだ。
「中国の植民地」と揶揄されるほど中国市場に依存するドイツが、
さらに有利な貿易を求めて、対中軍事技術の解禁に踏み切る懸念が消えないからだ。
(中略)
 メルケル首相は、欧州の債務危機で、
日本の金融支援が必要にもかかわらず、
当時の野田首相には、電話一本で巨額の欧州支援の確約を済ませる一方、
中国には、わざわざ自ら出向き欧州支援に謝意を表明するほどだ。
(引用、以上)
 なんとなく著者の怒りを感じますが、
これは、仕方ないことです。
 ドイツにとって、宗主国とライバル国では、
その対応が、大きく違ってきます。
 相手が宗主国ならば、丁寧に対応し、
潜在的なライバル国ならば、冷たい対応になるのは、当然でしょう。
 いつの間にか、中国とドイツの関係は、
宗主国と藩属国の関係になったのです。
つまり、中国が宗主国で、ドイツが藩属国という関係です。
藩属国は、宗主国である中国から王国や公国として冊封されることになります。
 私の認識では、中国4000年の歴史で、
現在の中国の版図は、過去最大のものとなっています。
4000年の歴史で、欧州を広範囲に支配した帝国はありませんでした。
 数年前(2007年まで)、欧州経済が好調だった頃は、
欧州は、中国に対して、民主化や人権問題を盛んに主張していましたが、
最近は、全く聞かれることはなくなりました。
 経済情勢が激変し、中国が宗主国になった以上、
さすがに宗主国に対しては、そういうことは言えないのでしょう。






































































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